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​研究紹介

ストレス耐性機構の解明とその利用
自然界に生きる植物は移動手段を持たず、移り変わる環境の中で生き延びていかなければならないため、 常に様々な環境ストレスにさらされることになります。一言で環境ストレスと言っても、温度に関するストレス、水環境に関するストレス、栄養環境に関するストレスなど様々なストレスが存在します。厳しい環境に育つ植物は同時に複数のストレスを受けることも多く、これらのストレス因子を同時にセンシングし応答できるように進化してきています。

私達は、植物のストレス耐性と物質代謝の制御との関係に着目しています。 私たちの研究から、イノシトール生合成の入り口で働くイノシトール一リン酸合成酵素(MIPS; 図1)を高発現させた組換え植物では、イノシトール代謝経路だけでなく解糖系、ペントースリン酸経路、TCA回路など多くの代謝経路が活性化するとともに、塩ストレス耐性を獲得することが明らかとなっています(図2)。私達は、これらの代謝経路の活性化により蓄積された各種の代謝物が、各種ストレスで増加する活性酸素種のスカベンジャーとして働くことで組換え植物の塩ストレス耐性が向上したと考えています。

作物のストレス耐性向上は、環境ストレスが増加する現代における作物増産にとって極めて重要です。 私達は現在、ストレス応答が変化する新たな変異体や組換え体を作出しており、これらを手がかりとしてストレス耐性向上を目指した研究を続けています。
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