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​研究紹介

低フィチン種子作成による環境負荷低減の実現
現在、湖沼の富栄養化が世界各地で進行しています。
その原因の一つが周辺流域からのリンの流入ですが、リンの主な汚染源として畜舎からのリンの流入が挙げられます。 家畜は穀物種子を餌としていますが、種子中には大量のリンが存在し、その大部分はフィチンの形で蓄積しています。

フィチンはイノシトール六リン酸(フィチン酸)が様々な金属イオンと結合したものです。フィチンは不溶性で、消化性が低く家畜が飼料として摂取するとその多くが消化されずに排泄物とし排出されてしまうため、これがリンの汚染源となります。

実際の飼育現場では家畜がリン不足に陥らないように過剰な無機リンをサプリメントとして与えるため、環境へのリンの放出は深刻なレベルに達することになります。 穀物中のリンの貯蔵形態を変えて家畜が飼料中のリンを利用しやすくすれば、飼料効率を上がると同時に、排泄物中に含まれるリンが減って環境への負荷を和らげることができます。

私たちの研究室では、フィチン酸合成の入り口で働く酵素遺伝子の働きを種子特異的に抑制することでフィチン酸合成を抑制した形質転換作物を作り出すことに成功しました。これにより、従来の種子に含まれるフィチン酸の60%を消化吸収のよい無機リンに変換することができました(図3)。
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