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​用語解説

ここには、私たちの研究に関連する用語の簡単な解説が載せてあります。

富栄養化

リンや窒素といった栄養塩類が過剰に湖沼などに流入し、水中が富栄養状態となること。 富栄養化はプランクトンの異常発生を引き起こし、各地で溶存酸素量の低下などの水質汚染が問題となっている。 特に、リンは気体に変化しないため、一度過剰になると長期に渡って過剰な状態が維持されるといった問題がある。

リン鉱石

リンは肥料や飼料として用いられており、食糧を生産する上で欠かすことのできない重要な資源である。 しかし、その原料となるリン鉱石の多くは石油などと同様に生物由来であり、近年枯渇が危惧されていて、食糧生産に影を落とす一つの要因となっている。

ファイトレメディエーション

植物が持つ環境浄化能力を利用して汚染された大気、土壌、水質などを浄化すること。植物が本来持つ二酸化炭素や窒素酸化物の同化能力を利用することなどがすでに試みられているほか、遺伝子組み換え技術によって重金属や有機化学物質などの汚染物の吸収・蓄積・解毒能を付加する植物が開発されつつある。

フィチン酸

myo-イノシトールにリン酸基が六個ついた、イノシトール六リン酸のこと。 この物質は、植物の主なリン貯蔵形態でありながら、動物体内では吸収されにくく、リンによる湖沼の富栄養化の一因ともなっている。 これまでに、フィチン酸が生体内で様々な働きを持つことが示唆されていることから、当研究室では植物体内中のフィチン酸の動態に着目し、環境問題の解決への応用を試みている。

環境ストレス

塩類濃度が必要以上に高い、または温度が低い、水分が不足しているなどといった、環境中に出現するストレスのこと。 ストレス環境におかれた植物は、様々な生育阻害を受けることになり、光合成能力の低下やしおれなどを引き起こす。 しかし、植物にはそれらのストレスに対応する機構も存在し、中には過酷な環境をニッチとする植物も存在する。 当研究室では植物が本来持っているストレス耐性機構を解明し、応用することを一つの目的としている。

蛍光X線分析

試料にX線を照射するとそこに存在する原子から内殻電子が放出される。電子が放出されて内殻に生じた空孔にその外側に存在する電子が遷移する時、その内殻と外殻のエネルギー差に応じたエネルギーを放出する。この放射が蛍光X線と呼ばれる。蛍光X線は各原子に固有であるため、蛍光X線を測定することで試料を構成する元素の種類と濃度の分析ができる。蛍光X線解析では多元素同時分析が可能であることから、元素間の相関を明らかにできる点が大きな利点である。また、X線源としてシンクロトロン放射光を用いると、その高輝度特性により、ミクロン単位の微小領域の高感度分析が可能であり、細胞内での元素の分布を明らかにすることができる。私たちもシンクロトロン放射光を利用している。

アリューロン層

糊粉層のこと。イネ科の植物の頴果の胚乳組織の最表層細胞層が、受粉後10日目頃に細胞分裂を終えた後、特異的な細胞として分化したもの。イネでは「ぬか」と呼ばれる部分である。 アリューロン層は様々な種子貯蔵物質の貯蔵場所となっている。 また、イネの場合、アリューロン層は種子への転流物質の通り道となっているため、登熟過程において重要な役割を持っているとされる。種子中のフィチンは主にアリューロン層に蓄積する。

富栄養
リン鉱石
ファイトレメディエーション
フィチン酸
環境ストレス
蛍光X線分析
アリューロン層
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